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    「春宵十話」 (岡潔著)をよむ

    19012101


    昔、ワタクシが学生の頃は、文系と理系に人種が分かれていました。
    どういうことかと言うと、数学が出来るか出来ないかで分けられていた。
    デジタル化が進んだ現在では、この分け方はもう古く、どちらも出来ないと話にならない時代になりました。

    実はワタクシは数学が出来ない族の一員でして、社会人になってから大いに苦労したのでした。
    やはり数学の難しさは、うやむやに出来ないことでしょう。
    非常に理路整然としていてごまかしが効かない。
    初歩的なところで理解できないと、その後はまったく分からなくなります。
    文系はうやむやであっても、そこからスタートすれば何とかなります。

    なのでワタクシにとって数学者や物理学者はその能力の高さに尊敬しています。
    で、何故この本を読んだのか?
    先月「数学する身体」(森田真生著)を面白く読んだのですが、著者がこの本を絶賛していたからなのでした。

    岡潔とはどんな人かと言うと、当時難題であった「多変数解析函数論」に取り組み、この分野の三大問題に解決を与えた人なのです。
    1960年に文化勲章を受章し、1978年に亡くなりました。

    さて本書では「情緒」の大切さを繰り返します。

    情緒の中心の調和が損なわれると人の心は腐敗する。
    社会も文化もあっという間にとめどなく悪くなってしまう。
    情緒の中心が人間の表玄関であるということ。
    そしてそれを荒らすのは許せないということ。
    これを皆がもっともっと知って欲しい。
    これが私の第一の願いである。

    さて情緒とは何でしょうね。
    ウェブで調べてみました。
    「情緒(じょうちょ)」とは、「何かに触れて起こる様々な感情」「怒りや喜びなどの感情を誘う雰囲気」「恐怖や驚き、喜びなどの一時的な感情」という意味です。
    「情緒的」とは、頭での理解よりも心に訴えかけるようなものや雰囲気を意味します。
    また、雰囲気やムード、気分などを理解できないことを「情緒に欠ける」という言い方をします。
    類語として「風情(ふぜい)」が挙げられますが、情緒と風情は少し違います。
    情緒は「何かをきっかけに起こる感情」のことですが、風情とは「そのものから自然に何となく感じられる上品な雰囲気」という意味です。

    難しいですね。
    岡潔は情緒を以下に説明します。
    たとえば、すみれの花を見るとき、あれはすみれの花だと見るのは理性的、知的な見方です。
    むらさき色だと見るのは、理性の世界での感覚的な見方です。
    そして、それはじっさいにあると見るのは実在感として見る見方です。
    これらに対して、すみれの花はいいなあと見るのが情緒です。
    これが情緒と見る見方です。
    情緒と見たばあい、すみれの花はいいなあと思います。

    理性や論理的なものよりも、感性の豊かさ・繊細な感情が重要なのですね。
    確かに自然から隔離されたような都会で暮らし、経済世界で凌ぐ厳しい世界においては情緒が劣化します。
    お金を儲けてリッチになりたい人が溢れているのでよく分かります。
    カルロス・ゴーンはその代表選手のようなものでしょう。
    いまだにニュースで注目される理由のひとつに、彼に対する社会の羨望の眼差しがあったからだと思うのです。

    論理性の充実に胡坐をかくのでなく、その先の情緒に磨きをかけたいものです。
    今だからこそそう思いますね。
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